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更新日:2024/04/17
ビジネスケアラーとは、働きながら親の介護をする人たちを指します。介護と仕事を両立できず、離職してしまう人も少なくありません。今後、高齢化が進むなかでますますビジネスケアラーは増加するといわれています。
人手不足が加速するなかで、介護離職が増えるのは企業にとっても大きな損失です。企業は従業員が介護と仕事を両立しながら働ける労働環境を整えなければなりません。
この記事では、ビジネスケアラーが増えている要因と課題、企業ができる支援について解説します。誰もが働きやすい職場環境をつくるために、ぜひ参考になさってください。
目次
ビジネスケアラーとは働きながら介護をする人のことです。高齢化社会の進行により、ビジネスケアラーの増加が浮き彫りになってきました。ビジネスケアラーの増加は社会構造の変化など複数の要因が関係しています。
超高齢化社会の進行もビジネスケアラーの要因のひとつです。一般的に高齢化と判断される割合は21%からとなっているなかで、2023年の総人口に対する高齢化率は29.0%※1とわかりました。そのため、今の日本は超高齢化社会を迎えていることがわかります。
2023年11月の要介護認定者は707万人※2。その数は年々増加。今後、高齢化はますます加速するといわれているため、ビジネスケアラーも増加するといわれています。
※1 内閣府「令和5年版高齢社会白書」
※2 厚生労働省「介護保険事業状況報告の概要」
夫婦ともに働く共働き世帯が一般的になったことも、ビジネスケアラーが増えている要因です。昔は専業主婦が家事や介護を担うのが一般的でしたが、近年は家計を支えるために働く女性も増えています。
どちらか一方が働きながら介護を担わなければならないため、必然的にビジネスケアラーとなってしまうのです。
内閣府 男女共同参画局「男女共同参画白書 令和5年版」
近年、結婚を選択しない未婚者が増加しつつあることも、ビジネスケアラーの要因となっています。1985年の単独世帯の割合20.8%に対して、2020年では38.0%まで増加しています。
キャリアを築いていくなかで、親の介護が必要となり、必然的に働きながら介護を担うことになるのです。
働きながら介護を続けるにあたって、介護のプロへ依頼することを考える人も少なくありません。しかし、介護業界も人手不足の影響を受けており、介護人材の不足により受け入れが困難な状況です。
2025年には団塊世代が後期高齢者となり、介護が必要とされる人が増えるといわれています。そして、さらに高齢化が進むと介護人材の不足は深刻化を増し、2040年には約69万人の介護人材が不足するといわれています。
厚生労働省「介護人材確保に向けた取組」
介護施設にも入所できず、介護サービスを受けられずに働きながら介護を担うのは大変な苦労を伴います。
総務省『令和4年就業構造基本調査』によると、介護と仕事との両立を理由に離職した人は約10万人にのぼることがわかりました。こうした介護と看護を理由とした離職は、2017年より増加傾向にあります※。
ビジネスケアラーの割合は約364万人と前年の2022年の346万人から10万人以上増加しています。
また、日本は晩婚化が進んでおり、初婚年齢が上昇しています※1。出産後、育児と介護の両方を担う人も増加していく可能性があるのです。
※1 厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計月報念系(概数)の概況」
ビジネスケアラーの増加にあたって介護離職者も増えていくもの考えられています。介護離職者が増え続けた場合、2030年には約9兆円の経済損失が予測されています。
出典:経済産業業「介護政策」
ビジネスケアラーは中間管理職などが多いため、企業は経験豊富な人材を失うことになります。
このような大きな経済損失を最小限に抑えるには、国だけではなく、企業も従業員が介護と仕事を両立できるように、環境を整えるなど支援策を考えなければなりません。
ビジネスケアラーに対する支援を考える前に、まずはビジネスケアラーが抱える課題を知ることが大切です。おもな課題は以下の3つがあげられます。
介護と仕事の両立困難
心理的・金銭的負担
キャリアプランへの影響
生産性の低下
それぞれ簡単に解説しましょう。
ビジネスケアラーは、介護と仕事の両立が難しい環境に置かれていることを知らなければなりません。
介護は育児と違って終わりが見えにくいこともあり、長期化しやすく、急な早退や休業などをくりかえしやすいのです。
こうした状況を知らない従業員からは、休むことで業務のしわ寄せがくることでクレームが出ることもあります。また、理解のない上司から、何度も休むことで低評価をつけられるといった理不尽な体験をしている人もいるのです。こうした状況が続くと出勤がしづらくなり、離職せざるを得なくなるのです。
ビジネスケアラーの介護負担による心理的ストレスや経済的な負担は、計り知れないものです。介護を理由とした休業や労働時間の制限など、法整備は進んではいるものの、取得率は伸びていません。
給付金は育児休業給付金と違って社会保険料が免除されないため、休業すると手取りが減ってしまうからです。別途金銭を支給している企業も約13%※と少なく、ビジネスケアラーは休むことで心理的金銭的な負担が大きいことが課題とされています。
※ 厚生労働省「労働統計調査」
介護による心身の負担から、仕事量をセーブしたくても上司に言い出せないビジネスケアラーは少なくありません。どんなに身体がつらく、仕事に集中できない状況だったとしても上司にいえないビジネスケアラーは多く、公的な支援を知らない人も少なくありません。
ビジネスケアラーは40代~50代前半の中堅クラスの人材が多く、もしその年齢から介護離職した場合、再就職は困難を極めるといわれています。これまで築いてきたキャリアを離職によって失う不安を抱えているビジネスケアラーは少なくありません。
ビジネスケアラーは職場にも介護の状況を伝えることができないうえに、キャリアへの不安もあることから適切なサポートを受けることができません。介護をしながらでも仕事を休まないビジネスケアラーもいますが、うまく両立ができているとはいえないといわれています。
ビジネスケアラーが社会的なサポートを受けられるように、支援体制の整備やコミュニケーションを図れるような環境を作ることが必要とされています。
ビジネスケアラーへの支援は社会全体で取り組まなければならない問題です。国が休業制度など法整備を進めているなかで、企業もビジネスケアラーについて理解を深めたうえで、従業員が働きやすい環境を作ることが求められています。
介護と仕事の両立支援は当事者が働く環境で理解が進まなければ意味がありません。
育児・介護休業法では、仕事と介護の両立を支援することを目的に下記のような制度が設けられています。
制度 | 概要 |
介護休暇 | 対象家族1人につき年5回、2人以上なら年10日まで1日または時間単位で休暇の取得が可能 |
介護休業制度 | 対象家族1人につき通算93日まで3回を限度に分割して休業できる |
介護休業給付金 | 上記介護休業取得につき3回までに限り支給される給付金 |
介護のための所定労働時間短縮などの措置 | 短時間労働が可能 |
所定労働時間の制限 | 介護を行う従業員の申請により残業を制限する制度 |
時間外労働の制限 | 1カ月24時間、1年150時間を超える時間外労働の制限 |
深夜業の制限 | 22時~5時までの深夜就労の制限 |
このほかにも転勤の配慮やこれら制度利用の申請を理由とした解雇など、不利益な扱いをしてはいけないことも法律で禁じられています。
公的な制度を利用することで、両立がしやすくなることを知らない人も少なくありません。全従業員に向けて、仕事と介護の両立支援に関する周知を行うことが大切です。職場全体の理解が深まるため、ビジネスケアラーも働きやすくなるだけではなく、これから親の介護を迎えるビジネスケアラーも早めに相談できる体制をつくれます。
介護を理由とした早退や休業もお互い様で応援できる組織体制を構築し、ビジネスケアラーが働きやすい環境を作りましょう。
関連記事:今後の働き方にあったオフィスとは?出社したくなるオフィスづくりのポイント
ビジネスケアラー問題が表面下しやすいのは、建設業界など一部の業界です。比較的若い世代が多いIT業界などはまだそこまで問題視されていません。しかし、これから進んでいく超高齢化社会に向けて、入社直後から介護と仕事を両立できる体制を整えておくことが大切です。
介護と仕事を両立しやすいように、多様な働き方の導入も検討しましょう。短時間勤務や勤務地限定、職種・職務限定などを導入している企業も増えつつあります。
コロナ禍で普及したテレワークも、自宅で働ける手段として人気のある働き方です。育児と両立しやすいメリットがあることから、介護を担う従業員にも選択肢のひとつとして導入するとよいでしょう。
テレワークとオフィス勤務をバランスよく取り入れた働き方もあります。業態や環境にあわせて検討してみてください。
関連記事:【ハイブリッドワークとは?】新しい働き方にあったオフィス作り
関連記事:テレワークを導入するとどんなメリットがある?企業と従業員に聞いてみた!
今後、ビジネスケアラーを含むすべての従業員が働きやすい環境を作ることは企業にとって大きな課題です。休業せずとも働き続けられる環境を作ることが大切になってきます。
厚生労働省では、仕事と介護を両立できる職場環境の整備促進を目的としたシンボルマーク「トモニン」の活用を呼び掛けています。取り組みに関する事業者の負担は「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)」の対象です。
柔軟な働き方の導入や従業員への周知、ビジネスケアラーへの支援などに使うことができます。
助成金対象の制度以外にも、福利厚生として独自の支援制度を設けている企業も増えています。
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仕事と介護を両立するビジネスケアラーは、今後増えていくと想定されます。企業は経験豊富な人材の介護離職を防ぐためにも、問題が顕在化する前に仕事と介護の両立支援体制を作ることが大切です。
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