
フリーアドレスとは?メリットや失敗しない方法や事例をご紹介。
フリーアドレスは、現代の多様な働き方を支えるオフィススタイルです。従業員が固定席を持たず、自由に席を選べるこのシステムには、空間の効率的な利用やコミュニケーションの促進など、多くのメリットがあります。 この記事では、フリーアドレスのメリットや導入する場合のポイント、事例を解説します。
目次[非表示]
- 1.フリーアドレスオフィスとは?
- 2.フリーアドレスオフィスのメリット4選
- 2.1.チームワークの向上
- 2.2.柔軟性と自由度の向上
- 2.3.コストの削減
- 2.4.作業効率の向上
- 3.フリーアドレスオフィスのデメリット
- 4.フリーアドレスオフィスを導入する企業が増加している理由
- 4.1.働き方の多様化
- 4.2.ICTの活用
- 4.3.コミュニケーションの課題
- 5.フリーアドレスオフィスに向いている企業の特徴
- 5.1.社内コミュニケーションに課題がある
- 5.2.空いている空間を有効活用したい
- 5.3.柔軟な働き方に対応できる
- 6.フリーアドレスオフィス導入時によくある課題
- 6.1.席の固定化
- 6.2.席の確保が難しい
- 6.3.コミュニケーションのギャップ
- 6.4.ITインフラの不備
- 6.5.雑談が気になり集中できない
- 6.6.社員の位置を把握できない
- 7.フリーアドレスオフィスが成功しやすい企業の特徴
- 8.フリーアドレスオフィスを成功させるポイント
- 8.1.段階的な導入
- 8.2.ルール化
- 8.3.ロッカーや社内移動用バッグなど収納場所の準備
- 9.フリーアドレスオフィス導入の方法と流れ
- 9.1.導入の目的を明確にする
- 9.2.対象の部署を決定する
- 9.3.座席数やレイアウトを決める
- 9.4.家具やツールを選定する
- 9.5.運用ルールを作成する
- 9.6.テスト運用を行う
- 9.7.導入後は定期的に運用ルールを見直す
- 10.おしゃれなフリーアドレス事例
- 11.まとめ
フリーアドレスオフィスとは?
固定席を持たず、社員が自由に席を選べるワークスタイルです。 社内であれば好きな席に座れるため、チーム内外問わず必要な時に必要な人とコミュニケーションが取りやすいなどのメリットがあります。 近年のIT技術の発展と働き方の多様化に伴い、多くの企業で導入が進んでいます。
フリーアドレスオフィスのメリット4選
チームワークの向上
異なる部署やプロジェクトのメンバーが同じエリアで作業する機会が増えるため、 アイデアや知識の共有が促進されます。 その時々で必要な人と近い距離で作業できるため、コミュニケーションやチームでの作業 がスムーズに行えます。コミュニケーション量が増えたことから、チームの協力体制が強化され、共同作業が円滑に進む環境を提供できます。
柔軟性と自由度の向上
フリーアドレスオフィスの最大のメリットは、柔軟性と自由度の向上です。従業員はその日の業務内容やチームメンバーに合わせて席を選ぶことができます。そのため、様々な部署やプロジェクトのメンバーと自然にコミュニケーションを取る機会が増え、職場全体の連携が強化されます。
コストの削減
フリーアドレスによって、オフィススペースの効率的な利用が可能となり、スペースや家具のコストを削減できます。特にテレワークやリモートワークが普及する中、無駄なスペースを無くし、運用コストの見直しを図ることで、経済的な効果も期待できます。
作業効率の向上
フリーアドレスオフィスでは、従業員はその日の業務内容や気分に応じて、自分に合ったスペースを自由に選べます。例えば、静かに集中したい時には人通りの少ない静かな場所を選び、活発にコミュニケーションを取りたい時にはオープンスペースを選ぶことができます。このように、目的に応じて最適な環境を選ぶことで、集中力を最大限に発揮できる環境を提供できるため、作業効率の向上が期待できます。
フリーアドレスオフィスのデメリット
席の確保が難しい
フリーアドレスオフィスでは、毎日自由に席を選べるメリットがありますが、混雑時に席を確保するのが難しい場合があります。特に多くの従業員が同じ時間帯に出社すると、好みの場所を見つけるのは困難です。この問題に対する対策として、事前予約システムを導入する企業も増えています。
プライバシーの不足
オープンな環境では、周囲の目を気にせずにプライベートな作業を進めることが難しい場合があります。特に電話や会議の内容が外に漏れるリスクがあります。プライバシーを確保するために、専用の個室ブースやヘッドセットの利用を提案することも考えられます。
個人スペースの欠如
固定席がないことで、個人スペースが確保しづらく、個々の所有物や資料を置く場所が限定されます。これにより、作業環境が安定せずストレスになることがあります。解決策として、共有のロッカーを設置したり、デジタル化を進めてペーパーレス化を図ることが有効です。
フリーアドレスオフィスを導入する企業が増加している理由
働き方の多様化
新型コロナウイルス感染症をきっかけに働き方が変化したことによるものです。 テレワークの導入など、オフィス以外の場所で仕事をする働き方が広まり、出社率が低下したことから、座席数を減らし、組織編制や人数の増減に柔軟に対応できるフリーアドレスを導入する企業が増加しました。 固定席を設けないため、対面コミュニケーションの活性化にも繋がり、出社回帰が進む現在もフリーアドレス化を検討する企業が増えつつあります。
ICTの活用
ペーパーレス化など、ICT環境の整備が進み、テレワークなど多様な働き方のサポートが可能になりました。 ICTツールやWi-Fi等を活用することで、フリーアドレスで起こりがちな課題の解消が可能になったことから、場所を選ばない働き方が実現できるようになり、フリーアドレスの採用率が増加しました。
コミュニケーションの課題
リモートワークの導入から、コミュニケーション課題が生まれやすくなったことも理由の1つです。 フリーアドレスは固定席を設けないため、業務上接点のない従業員同士の交流が期待できます。 チームワークの創出や雑談の機会にも繋がるため、リモート環境で起こりがちなコミュニケーションの課題を解決できます。
フリーアドレスオフィスに向いている企業の特徴
フリーアドレスのは主に下記のような課題の解決に役立ちます。 現在抱えている課題が当てはまる場合は、フリーアドレスの導入を検討してみるのもよいでしょう。
社内コミュニケーションに課題がある
フリーアドレスは、コミュニケーションの活性化が期待できます。 固定席は、部署をまたいだコミュニケーションが生まれにくく、コミュニケーションが偏りやすいといったデメリットがあります。 仕事の内容に合わせて座席を自由に利用できるため、普段は接点のない社員同士の交流が生まれやすくなります。
空いている空間を有効活用したい
フリーアドレスは、空いた席を他の社員が使用できるため、場所を有効的に活用できます。 テレワークを導入している場合や、営業社員など頻繁に離席する社員が多い場合は、フリーアドレスにすることで、座席の数を減らし、別のスペースとして活用できます。
柔軟な働き方に対応できる
フリーアドレスを導入することで、テレワークと出社を組み合わせるハイブリッドワークの実施や、仕事の内容や気分に合わせて働く場所や時間を自由に選択できるABWの実現にも繋がります。 従業員が自由に働く場所や時間を選べることで、より生産的に働ける環境の構築ができ、従業員満足度の向上や人材確保などの効果も期待できます。
フリーアドレスオフィス導入時によくある課題
フリーアドレスの導入には、多くの変化が求められるため、様々な課題が発生します。以下にフリーアドレス導入時に起こりがちな代表的な課題を紹介します。
席の固定化
フリーアドレス制度を導入した際に、意図せず席が固定化されることはよくある問題です。 便利な位置や快適な環境が好まれ、一部の席やエリアに特定の社員が固定化しやすくなる、人気の席を取るために早く出社するなど、無駄な競争が生まれることがあります。
席の確保が難しい
多くの社員が同じ時間に出勤する場合、人気のある席がすぐに埋まり、全員が希望する座席を確保できないことがあります。 また、特定のエリアに座席が集中することにより、エリア内の人員過多や窮屈さが感じられる場合があります。
コミュニケーションのギャップ
同じメンバーばかりが集まりがちであり、異なる部署やチームとの交流機会が減少する可能性や、自由席のため、チームメンバーがばらばらに座ることで、日常的なコミュニケーションが不足し、情報共有が滞る可能性があります。
ITインフラの不備
どこからでも働ける環境を整備するためのITインフラが不十分だと、業務に支障をきたします。 クラウドサービスや社内システムへのリモートアクセスが不十分だと、どこからでも仕事をするには不適切で、従業員の柔軟性が失われます。 また、ワイヤレスネットワークのカバー範囲や速度が不十分だと、接続が頻繁に途切れてしまい、業務効率が低下します。
雑談が気になり集中できない
周りでの会話や電話の声が気になり、集中力が途切れてしまう、頻繁な移動やその際の音が作業の邪魔になるといった課題も起こりがちです。 こういった課題は社員の集中力を低下させ、業務に悪影響を及ぼす可能性があります。
社員の位置を把握できない
フリーアドレスオフィスは柔軟性を提供する反面、社員の位置を把握しづらいという課題も存在します。 その結果、コミュニケーションや業務指示が滞ることがあり、業務の円滑な進行を妨げる要因となる可能性があります。
フリーアドレスオフィスが成功しやすい企業の特徴
◆ペーパーレス化
フリーアドレスが上手くいかなかった企業の特徴としてペーパーレス化ができていないことが挙げられます。 フリーアドレスは業務終了後にデスク上の物をすべてロッカーに戻さなくてはならないため、毎回大量の資料を使う場合はあまりフリーアドレスには向いていません。
◆ITツールの導入
広いオフィスの場合、上司や部下がどこにいるのかわからないという問題が起こりがちです。 この問題を解決するには、社用スマホなどで位置を把握することが出来るシステムを導入することがおすすめです。 また、情報を一元管理できている状態が望ましいので、個別のPCやハードウェアで管理されている場合はBOXなどのツールで一元管理化されることをおすすめします。
◆テレワークやサテライトオフィスを視野に入れたレイアウト
集中できる環境の提供や柔軟な働き方に対応でき、フリーアドレスのデメリットのカバーもできるため、テレワークの導入やサテライトオ フィスの設置なども並行して行うことがおすすめです。
関連記事: フリーアドレスの運用方法は?ルールの作成ポイントや課題の解消方法を紹介
フリーアドレスオフィスを成功させるポイント
段階的な導入
フリーアドレスを成功させるには、いきなり席を自由化するのではなく、グループアドレスなど段階的に進めていく必要があります。 グループアドレスとは、部署ごとに指定された範囲内で自由に席を選ぶスタイルのことを言います。
関連記事:グループアドレスとフリーアドレスの違いは?メリット・デメリットを解説
ルール化
人間は、特に大きな状況の変化がない限り、現状維持したくなる「現状維持バイアス」という心理が働き、毎回同じ席に座ってしまいがちです。 しかし、席が固定化しまってはフリーアドレスのメリットが発揮されないので、運用ルールの作成やくじの導入など固定化されにくい工夫を取り入れることも重要です。
関連記事:フリーアドレスの運用方法は?ルールの作成ポイントや課題の解消方法を紹介
ロッカーや社内移動用バッグなど収納場所の準備
フリーアドレスは固定席のように一人ひとりにキャビネット等の収納家具が用意されていないため、移動や退社する際にすべて収納できるロッカーや持ち運べるバッグが必要になります。
関連記事:フリーアドレス導入時におすすめの便利グッズ5選
関連記事:フリーアドレスでパーソナルロッカーを選ぶためのポイントを解説
フリーアドレスオフィス導入の方法と流れ
導入の目的を明確にする
まずは、フリーアドレスを導入する目的を明確にしましょう。 現状のオフィスの課題やフリーアドレスの効果を確認し、導入する前に話し合っておくことが大切です。
対象の部署を決定する
全社に導入するか、一部の部署のみを対象にするのか、決めましょう。 フリーアドレスは、部署にって向き・不向きがあります。 フリーアドレスに向かない部署は、部署内で自由に席を選べるグループアドレスを採用するなど、業務内容に応じて検討するのがよいでよう。
座席数やレイアウトを決める
対象部署が決まったら、座席設定率を計算し、必要な座席数を算出しましょう。 座席設定率とは、フリーアドレスの対象となる社員数に対して、オフィスに設置する座席数の割合で、フリーアドレス対象者数 ÷ フリーアドレス席数 × 100で求められます。 フリーアドレス対象者が100人で、フリーアドレス席を60席用意した場合、座席設定率は60%となります。 座席設定率は、フリーアドレスデスクの導入時に検討する重要な指標で、オフィスの効率的なスペース活用につながります。
関連記事:ゾーニングとは?オフィスは動線設計次第で快適さが決まる
家具やツールを選定する
座席数やレイアウトを参考に、家具やツールを選びましょう。 フリーアドレス用の家具や座席管理システム、持ち運びバッグなど、様々なツールがあります。 今後の運用を見据え、フリーアドレスをより効率よく快適にするために、必要なものを選びましょう。
関連記事:フリーアドレス検討されている方必見!おしゃれなデスクをご紹介
運用ルールを作成する
次は、フリーアドレスの使い方を決めましょう。 フリーアドレスを成功させるには、席の利用方法や飲食の場所など、誰もが気持ちよく席を使えるよう、運用ルールを作り、社員に守ってもらう必要があります。 社員の意見も取り入れ、自社に合ったルールを作ることが大切です。 また、作成した運用ルールが社内に浸透するよう、ルール作りに社員に参加してもらうなど、関心を持ってもらえるよう工夫しましょう。
関連記事:フリーアドレスの運用方法は?ルールの作成ポイントや課題の解消方法を紹介
テスト運用を行う
導入の準備が整ったら、フリーアドレスのテスト運用を実施しましょう。 社員に告知し、一定期間テスト運用を実施し、意見や感想などフィードバックを収集することで、課題を把握できます。 フィードバックを基に修正が必要ないか確認し、問題なければ全社へ展開しましょう。
導入後は定期的に運用ルールを見直す
フリーアドレス導入後も、定期的に改善すべき点や新たな課題が発生していないか確認しましょう。 時間がたってから出てくる課題や運用ルールを遵守できていないなども考えられます。 フリーアドレスを成功させるためには、導入後も見直しや改善を繰り返すことが大切です。
おしゃれなフリーアドレス事例
●フィルメック株式会社様

●株式会社ソーキ様

その他事例はこちらから:https://hatarakuba.kurodaseiseido.co.jp/works/
まとめ
テレワークの導入が増えたことにより、家やコワーキングスペースなどできる作業は会社まで来てする必要がなくなりました。 そしてオフィスのニーズも「様々な人とコラボレーション」ができる場など、コミュニケーションを目的としたレイアウトへ変化しています。 フリーアドレス単体だけではデメリット面が目立ちますが、ITや新しい働き方を取り入れ、過去の失敗要因をカバーすることでこれからの働き方に対応できるオフィスになるのではないでしょうか。 オフィスデザインからレイアウト、移転までお手伝いするハタラクバデザインでは、豊富な知識と実績を活かし、一つひとつの企業の働き方にぴったりのオフィスデザインを提案いたします。 オフィスのデザイン・レイアウト作成だけでなく、テナント物件のご紹介から内装工事を含む各種工事、オフィス家具の設置にいたるまで、ワンストップで実施できるところが強みです。 自社の働き方やコンセプトに合ったオフィスをお探しの方や、既存のオフィスに課題を感じている方は、ハタラクバデザインへお気軽にご相談ください。 TEL:06-6268-2770 メールでのお問合せはこちら