ICTとは？DX・IoTとの違いや活用業界を詳しく解説

ICT、DX、IoTといった用語は、昨今の高度な情報社会において重要なキーワードです。しかし、これらの用語の意味を正確に理解し、区別することは簡単ではありません。そのため本記事では、ICTとは何か、そしてDXやIoTとどこが異なるのかに焦点を当てます。また、ICTがどのようにしてさまざまな業界で実用化されているのか、そのメリットや実際の活用事例を詳細に解説します。

ICTとは

ICTとはInformation and Communication Technologyの略称で、情報通信技術を意味します。コンピュータの単独利用に加えて、ネットワークを通じた情報や知識の共有も包含する、より広範囲を指す用語です。日本ではほぼ同義の言葉であるIT（Information Technology）が普及していましたが、近年では国際的に主流であるICTが広まりつつあります。

ICTは、すでに身近なものにも活用されています。例を挙げると、InstagramやX（旧Twitter）などのSNSや、iCloudやGoogleなどデータのクラウド管理システムもICTの一つです。

ICTとDX・IoTの違い

ICTとDX・IoTはいずれも情報技術の分野における重要な概念ですが、それぞれの役割と目的には顕著な違いがあります。

ここでは、ICTとDX・IoTの違いについて解説します。

ICTとDXの違い

DX（Digital Transformation）とは、デジタル技術を普及浸透させ、人々の生活をあらゆる面で豊かにさせることを意味します。一方、ICTは技術そのものを指す言葉です。つまり、DXを達成するための手段がICTであり、DXの達成にはICTが不可欠なのです。

具体的には、ICTを通じてデータ収集、分析、情報の共有やコミュニケーションが可能になり、これらがDXの基盤を形成します。例えば、クラウド技術やビッグデータ解析、AI（人工知能）の活用などは、効率的かつ効果的な意思決定を支援し、業務の自動化や最適化を促進します。

ICTとIoTの違い

IoT（Internet of Things）は、ICTを基にした応用技術で、「モノのインターネット」とも呼ばれます。IoTでは、自動車や家電、住宅など日常のモノをインターネットに接続し、データを収集・分析することで、これらのモノをインテリジェントなデバイスに変化させることが可能です。

例えば、この技術は農業において気温や湿度のデータを収集し、作物の生育状況を改善するために活用されるなど、実世界の具体的な問題解決に寄与しています。

つまり、ICTは情報技術の基礎枠組みであり、IoTはその枠組みを活用し、日常のモノとデジタル世界を結びつける仕組みのことなのです。

ICT活用の3つのメリット

ICTの活用は、生活や仕事に以下のようなメリットをもたらします。

• 業務の効率化
• コミュニケーションの活性化
• サービスや顧客満足度の向上

ここではそれぞれのメリットについて解説します。

業務の効率化

ICTを活用することで、書類の印刷や製本といった時間を要する雑務や、承認・申請プロセスを大きく簡略化できます。これにより全体的な生産性が向上し、より効率的な業務運営が可能です。また電子媒体への移行は、場所を選ばない柔軟な業務対応を実現し、災害や感染症流行時のような緊急時にも、業務の継続が容易になります。このようなICTの活用は、事業継続計画（BCP）の重要な要素となります。

コミュニケーションの活性化

ICTによって連絡を取る際の制約が減り、コミュニケーションが活性化されます。例えば、業務でスマートフォンやパソコンを利用することで、同じ場所にいなくても社内はもちろん取引先とも簡単に連絡が取れるようになりました。またWeb会議ツールを使えば、会議のためにわざわざ全国の各支店から本社に集まる必要がなくなり、簡単に打ち合わせを実施できます。

サービスや顧客満足度の向上

ICTの活用によって、従来では対応できなかった時間帯の対応や、問い合わせ方法の多様化が可能となり、サービスの質を向上させることができます。また、顧客側もすぐに問い合わせできるため、ストレスが減り満足度向上につながります。また電話対応だけでなく、メールやチャットでの問い合わせ、さらには最近ではAIを活用した自動チャットボットによる対応も増えてきました。

ICTの活用事例

ICTは政府が普及を促進していることもあり、以下のような分野で活用されています。

• 教育
• 地方創生
• 医療・介護

ここでは上記3つの業界で活用されている事例を紹介します。

教育

ICTの導入は、生徒の積極的な学習を支援します。従来の授業では教師が黒板に書きながら説明し、生徒はそれをノートに写すのが一般的でしたが、これには多くの時間を要してしまい、生徒が自ら考えたり質問する時間が不足していました。そこで、タブレットや電子黒板を使用し、これらの情報を事前に提供することで、生徒は議論や質問に時間を割くことができます。

また、ICTの利用は授業だけにとどまらず、成績管理や資料作成にも広がっています。ICTを活用することで、紙ベースの作業や手書きによるミスといった時間の無駄を減らすことが可能です。それによって教師は授業の準備に集中でき、全体的な労働環境の改善にもつながります。

地方創生

ICTによるリモートワークの普及は、地方創生にも大きな影響を与えています。データ中心の仕事では、Web会議システムの導入により、地方に住んでいても、都市部の企業で働くことが可能になりました。また、都市部に住みながら地方の仕事に従事することも容易になります。こうした動きは、地方の魅力を高め、より多くの人々が地方に関心を持つきっかけを提供しています。

医療・介護

医療や介護分野では、ICTの導入により、多くの革新的な変化が見られます。特に、高齢者の安全を監視するセンサーシステムや、遠隔地にいる患者に対する診断・治療サービスは大きな注目を集めました。日本で単身者や高齢者の世帯が増えている中、ICTツールが医療従事者による遠隔地からの介入を可能にし、医療と介護の質を大きく向上させています。

また医療分野では、CT画像などのデータを専門医に送信し、遠隔地での診断を実現する技術が開発されています。これにより、患者は遠方の病院に行く必要がなく、自宅近くで専門的な診断を受けられるようになりました。これらの進歩に加えて、AIやビッグデータを利用した診断や治療方法の開発もさらに進んでおり、医療分野におけるICTの可能性はこれからも広がり続けると期待されています。

ICTの活用はさらに広がっていく

今回はICTの意味やDX・IoTなど似たような用語との違い、ICTのメリット、ICTの活用事例を紹介しました。ICTの活用は、企業だけでなく政府も推進しており、今後も広がっていくと考えられます。

ICTの活用は、業務効率の向上だけでなく人手不足の解消にも寄与します。ICTをうまく活用すると、本来すべきことに集中でき、時間のゆとりを得られるでしょう。