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更新日:2024/01/22
10人前後の小規模オフィスのレイアウトはどのように決めればよいのでしょうか。小規模オフィスは床面積が限られ、家具やOA機器を置くスペースが少ないことから、オフィスレイアウトに悩む人も少なくありません。小規模オフィスのレイアウトでは、ゾーニング・動線・寸法の3点に注意し、計画的に決めることが大切です。
また消防法や建築基準法などの関連法令や、新型コロナウイルス感染症の感染予防対策なども考慮する必要があります。本記事では、小規模オフィスのレイアウトを決める際のポイントや事前準備、注意点を詳しく紹介していきます。
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目次
小規模オフィスとは、どのようなオフィスを指すのでしょうか。明確な定義はありませんが、一般的に「従業員10人前後で利用するのに適したオフィス」を指します。小規模オフィスは少人数での利用を想定しているため、床面積が狭いのが特徴です。家具やOA機器の配置によっては手狭になるほか、通路の幅が極端に狭くなったり、社員のパーソナルスペースがなくなったりしてしまう恐れがあります。
小規模オフィスに入居する場合は、限られたスペースを有効活用し、社員が快適に過ごせるオフィスづくりに取り組む必要があります。
小規模オフィスとよく似ているのが「スモールオフィス(ホームオフィス)」です。主に個人事業主やフリーランスの人が利用するワークスペースを指す言葉です。狭義のスモールオフィスは、レンタル方式のコワーキングスペースやシェアオフィスを指します。
この記事では、従業員10人前後が利用することを想定した賃貸オフィスや貸事務所を「小規模オフィス」と呼び、レイアウトの決め方や注意点を紹介していきます。
小規模オフィスと聞くと、「床面積が狭い」「従業員のウケが悪い」といったイメージがあるかもしれません。しかし、小規模オフィスならではのメリットもあります。特にオフィスレイアウトにこだわりがある人は、大規模オフィスではなく、コンパクトな小規模オフィスを選ぶことに利点があります。
小規模オフィスはスペースが狭いからこそ、家具やOA機器などの雰囲気を統一し、一体感のある空間を演出できるのがメリットのひとつです。
オフィスの賃料は床面積(坪)と坪単価を乗じて決まることが一般的なため、床面積が狭い物件ほどコストが安くなります。もちろん、高価なOA機器をたくさん設置する必要がないため、賃借料(リース代など)も抑えられます。
また大規模オフィスと比較すると、従業員一人ひとりの意見をオフィスレイアウトに反映させやすいこともメリットです。
小規模オフィスは床面積が限られているため、計画的にレイアウトを決めることが大切です。小規模オフィスのレイアウトを決める際は、ゾーニング・動線・寸法の3点をきちんと考慮しましょう。
ゾーニングとは、オフィス空間を区分けすることです。執務スペース、ワークスペース、ミーティングスペース、休憩スペース、収納スペースなど、用途ごとにオフィス空間を区分けします。
床面積が狭い小規模オフィスの場合、従業員の人数や業務内容を考慮し、しっかりとオフィス空間をゾーニングすることが大切です。例えば、執務スペースやワークスペースの場合、ゾーニングをして区分けごとに以下のようなレイアウトを行うことができます。
島型(対向式) | デスクをくっつけて島をつくり、従業員が向かい合いながら仕事をするレイアウト |
スクール型(同向式) | デスクを横に並べ、従業員が同じ方向を向いて仕事をするレイアウト |
クラスター式 | デスクの列の間に間仕切りや収納棚を設置し、隣り合う従業員が反対方向を向いて仕事をするレイアウト |
フリーアドレス式 | 固定の座席を設けず、従業員が自由に仕事場所を選べるレイアウト |
動線とは、従業員が出勤してから退勤するまでの移動経路のことを指します。オフィスレイアウトを考えるときは、従業員の導線を考慮することで、働きやすいオフィスの空間づくりにつながります。例えば、トイレや給湯室、OA機器スペースなど、従業員がよく利用する場所はスムーズにアクセスできるようレイアウトを考えましょう。
逆に動線設計がうまくいっておらず、目的地に向かうために迂回したり遠回りしたりする必要がある場合、業務効率が大きく低下する恐れがあります。
小規模オフィスの限られたスペースを有効活用するため、以下に挙げるような通路や家具・OA機器の幅をきちんと測定しましょう。
成人の肩幅の平均は、およそ40センチメートルとされています。つまり、大人2人がすれ違う場合、通路の幅が1メートルではギリギリです。通路やデスクの幅が、少なくとも120センチメートル以上になるように寸法を測定すると、空間にゆとりが生まれます。
小規模オフィスのレイアウトを決めるときの注意点は2つあります。
オフィスレイアウトに関連した法令には、消防法、建築基準法、労働安全衛生法などがあります。法令によっては罰則があるため、オフィスレイアウトが法令を遵守しているか事前にチェックすることが大切です。また、新型コロナウイルス感染症などの集団感染を防ぐため、3つの密(密閉・密集・密接)を避けたオフィスづくりを意識しましょう。
オフィスレイアウトを決めるときに関係するのが、消防法、建築基準法、労働安全衛生法の3つの法令です。特に床面積が少ない小規模オフィスの場合、レイアウトによっては関係法令の基準を満たさない可能性があります。
間仕切りやパーテーションでゾーニングするときは、消防法の確認が必要です。感知器やスプリンクラー、非常灯などの設置が義務づけられたり、管轄の消防署へ防火対象物使用開始届出書の提出が必要になったりする可能性があります。
建築基準法施行令第119条には、廊下の幅についての規定があります。(※)
廊下の用途 | 廊下の配置 | |
両側に居室がある廊下における場合 | その他の廊下における場合 | |
小学校、中学校、義務教育学校、高等学校又は中等教育学校における児童用又は生徒用のもの | 2.3メートル | 1.8メートル |
病院における患者用のもの、共同住宅の住戸若しくは住室の床面積の合計が100平方メートルを超える階における共用のもの又は3室以下の専用のものを除き居室の床面積の合計が200平方メートル(地階にあっては、100平方メートル)を超える階におけるもの | 1.6メートル | 1.2メートル |
オフィスの廊下の両側に部屋がある場合は1.6メートルの通路幅、片側に部屋がある場合は1.2メートルの通路幅が目安となります。
※出典:e-Gov法令検索. 「建築基準法」. (入手日付2022-12-09).
労働安全衛生規則第600条には、快適な労働環境を維持するため、従業員1人あたりの床面積についての規定が設けられています。(※)
“事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場の気積を、設備の占める容積及び床面から4メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者1人について、10立方メートル以上としなければならない。”
少なくとも、従業員1人あたり10立方メートルのスペースを確保できるようなオフィスの空間づくりが求められます。建物の有効面積比率(のべ床面積に対する有効面積の割合)を考慮すると、余裕を持った物件選びやレイアウト選びが大切になります。
※引用:安全衛生情報センター.「労働安全衛生規則」. (入手日付2022-12-09)
オフィスレイアウトを決めるときは、新型コロナウイルスの感染予防対策を意識する必要があります。ポイントとなるのが、厚生労働省などが提唱している3つの「密(密閉・密集・密接)」を避けたオフィスづくりです。(※)
特に床面積が狭い小規模オフィスの場合、従業員同士の距離が近くなりやすく、新型コロナウイルス感染症の感染リスクが高まります。飛沫感染を防止するための間仕切り・パーテーションの設置や、対人距離を確保したデスクの配置、空気の流れが滞りにくい空間づくりなど、感染予防対策を前提としたオフィスレイアウトを考えましょう。
※出典:首相官邸. 「3つの密を避けましょう」 (入手日付2022-12-09).
小規模オフィスとは、主に10人前後の従業員が利用することを想定したオフィスを指します。小規模オフィスには、「床面積が狭い」「プライバシーがない」といったイメージがあるかもしれませんが、メリットもあります。特に床面積が狭いからこそ、統一感のある雰囲気を演出できたり、レイアウトに社員の意見が反映されやすかったりする点が、小規模オフィスの強みです。
小規模オフィスのレイアウトを考えるときは、ゾーニング・動線・寸法の3点をしっかりと検討しましょう。また、消防法や建築基準法などの法令に違反していないか、新型コロナウイルス感染症対策ができているかも大切です。限られたスペースを有効活用し、従業員が快適に働けるオフィス空間づくりに取り組みましょう。
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