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更新日:2024/02/28
BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)は、災害などの非常事態に企業が円滑な運営を続けるために必要な備えです。今回はBCP対策の基本や重要な考え方について解説します。災害・事故などに対する備えは、企業の生命線を握る鍵です。オフィスで身近に取り組める実践的な内容も含め、いざという時に備えるためのステップを明確にしましょう。
BCPとは、Business Continuity Planの頭文字をとった言葉で、日本語では事業継続計画と呼ばれます。災害などの緊急事態が起きたときに事業を継続するため、企業があらかじめ計画を立てて備えておくことを意味します。BCPが求められる理由や、BCP対策を行ううえで重要な考え方について解説します。
近年、国内で地震・風水害などの自然災害が多発しています。それらの予測できない事態が発生した場合も自社の損害を最小限にし、ビジネスを継続できるよう備えるのがBCP対策です。自然災害に限らず、新型コロナウイルスのような疾患やサイバー攻撃による情報漏洩など、企業を取り巻く環境にはあらゆるリスクが潜んでいます。それらを未然に防ぐ手段を講じることで、企業の信頼性は高く保たれます。
リスクアセスメントとは、企業の中に潜む有害性や危険性を予測し、その除去や低減に努めることです。様々なリスクが事業継続性を阻害しないよう、以下の手順で計画を立てて対策を講じます。
・危険要因の特定、洗い出し
・危険性の重篤さや発生する可能性を含めてリスクの度合いを見積もる
・リスクの度合いに応じて優先度を設定
・それぞれのリスクに応じた低減措置の決定と記録
・定期的なリスクの見直しと優先度の修正
これにより、万が一緊急事態が発生した場合も事業の継続性を担保しながら、社員や顧客・取引先などへの深刻な被害を防ぐことにつながります。
ビジネスインパクト分析とは、自然災害などで業務やシステムが停止した場合の影響度を評価する手法です。事業が停止することによって考えられる被害の大きさ、影響の範囲を明らかにし、対応すべきリスクの優先順位付けに役立ちます。BCP対策を実効性の高いものにするには欠かせない分析手法です。
オフィスのBCP対策を実施して得られるメリットは、主に3つです。
・取引先や顧客の信頼性が向上する
・社員が安心して働ける職場づくりにつながる
・会社全体の立て直しにかかる時間を短縮できる
それぞれ詳しくみていきましょう。
BCP対策によって、万が一の事態が発生しても速やかに復旧できる体制を整えると、取引先・顧客・投資家から見て信頼性の向上につながります。復旧が早いということは、社外のステークホルダーへの損害も少ないことを意味するからです。そのため、BCP対策に関する取り組みは積極的に情報発信すると良いでしょう。
日頃からBCP対策で緊急事態に備えることで、社員も「自社はきちんと対策を講じている」という安心感を持ちます。安心・安全は人間の欲求の中で基礎の部分であり、ここに不安を感じると会社自体への不信感にもつながりかねません。緊急事態の発生時に部署ごとでとるべき対策を決めておくと、それぞれの社員の役割が明確になって復旧への道筋がますます明らかにできます。
BCP対策を何もしていない場合、災害などの緊急事態が発生した際に事業の復旧が大きく遅れたり、最悪のケースでは廃業に追い込まれたりする可能性があります。そんな事態を避けるためにも、BCP対策で前もって商品・サービスの供給を復旧する方法を考えておきましょう。事業の立て直しでスムーズな初動対応ができれば、全体で見たときの復旧時間を短縮できるだけでなく、自社の損害も最小限に抑えられます。
BCP対策を役立つものとするためには、以下で解説する3つのステップが必要です。どれも重要なポイントなので、BCP対策の全体像を把握するためにぜひお役立てください。
もしもの出来事が発生したとき、その影響の範囲を事前に予測するのは非常に重要です。どこにどのようなリスクが潜んでいるのかがわかれば、対策が立てやすいからです。自社が所有する資源を人材、資金、原料、データ、施設など大まかに分類し、それぞれに対して復旧の手段を考えます。特になくなっては困るものや復旧のボトルネックとなる資源については、日頃から代替手段を用意しておくとよいでしょう。
緊急事態が起きた際に社内のどの事業を優先的に復旧するのか、またそれにかかる時間をシミュレーションします。優先順位付けには、自社の中でも売上比率が特に高い中核事業を軸に考えるとスムーズです。
・売上に貢献している事業はどれか
・自社の市場での評価やシェアを維持するために欠かせない事業はどれか
・取引先に大きな損害を与えてしまう事業はどれか
・自社が法的または財政的責務を満たすうえで不可欠な事業はどれか
これらのチェックポイントに沿って事業を棚卸しして、事業ごとに復旧の手順と必要な時間をあらかじめ把握しておくと安心です。
様々な分析によってまとめたBCP対策を文書化し、社内外のステークホルダーに共有します。特に社内では、社員に対してしっかり周知することが重要です。定期的に研修や勉強会を開催し、社員のBCP対策への意識が薄れないようにしましょう。また、計画は策定してそのまま運用するのではなく、自社を取り巻く状況の変化にあわせた見直しも忘れずに実施します。
BCP対策を行う際、オフィスでできることにはどういったものがあるのでしょうか。ここでは主に社内の身近なところで取り組むBCP対策についてお伝えします。
オフィスの建物自体の安全性もBCP対策には欠かせないチェックポイントです。以下の4つの視点で自社が入居する建物を今一度確認してみましょう。
・耐震性能の高さは十分か
・自家発電による電力供給システムの有無
・断水時の給水確保ができるかどうか
・自治体のハザードマップで災害リスクを確認
社屋自体を建て直すと膨大な費用がかかるため、設備の有無を事前に調べることは欠かせません。また、入居後もメンテナンスが必要なものについては必ず定期点検を受けましょう。
社員が働くオフィスの中でもBCP対策は不可欠です。
・耐震の備え(棚が倒れないように固定するなど)
・緊急時の避難経路を確保する(通路に荷物を置かない)
・災害備蓄品の定期的な購入とチェック
備蓄品は緊急事態が起きた際に社員がオフィスで過ごせるよう、日頃から買いそろえておく必要があります。一般的に、災害発生から72時間その場に滞在すると生命を守ることにつながると言われます。社内で安全に72時間を過ごすために、備蓄品の消費期限などは定期的にチェックしましょう。
BCP対策は計画を立てるだけではなく、社内にその重要性を波及させることも大事です。災害時にオフィスに起こり得るリスクの説明、避難訓練の実施、災害発生後にとるべき行動などをしっかり社員に周知しましょう。社内に共有する方法としては、講師を招いての研修会、ディスカッション、Eラーニングなど様々な手段があります。自社の環境にあわせて最適なものを選択してください。
BCP対策は、事業の損害を最低限に抑えることはもちろん、働く社員を守るためにも重要な考え方です。今回解説したBCP対策の基礎をもとに、オフィスでの具体的な対策につなげていただければ幸いです。
「いきなり大きな計画を立てるのは難しい」という場合は、まず防災備蓄品をそろえるなど、身近なところから取り組んでみてはいかがでしょうか。黒田生々堂では企業に必要な防災備蓄品の販売や、期限管理のご相談もお受けしています。
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