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オフィスデザインのレイアウト・内装工事に関するブログ
更新日:2024/08/29
記憶にも新しい2024年1月に起きた能登半島地震は甚大な人的、物的被害をもたらしました。多くの企業では、改めて企業防災について考える機会になったのではないでしょうか。ハタラクバデザインを運営する株式会社黒田生々堂は、企業防災の重要性や、具体的にどのような防災対策をすべきか知ってもらえる防災セミナーを定期的に開催しています。
本記事では、企業防災の概要や、2024年7月25日に開催された防災セミナー「非常食の試食体験セミナー&防災備蓄品の展示・相談会」のレポート、オフィスで災害が起きた場合のリスク、企業が取り組むべき防災対策など詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
防災セミナーは、参加した企業の皆様に企業防災の重要性を改めて感じてもらい、オフィス環境やワークスタイルを見直してもらう機会をつくる目的で開催されました。企業防災について概要から解説します。
企業防災とは、自然災害の発生に備えて企業が取り組むべき対策のことを言います。災害による被害を少なくし、従業員の命を守るための対策だけではなく、災害時の企業活動を維持及び早期復旧を目指し、事業継続をするための対策を含めた2軸で行うことを指します。
2011年の東日本大震災では、多くの中小企業が甚大な被害を受けたことで事業の復旧や継続ができなくなりました。被災地の中小企業の事業継続が困難になると、製造や販売などの工程で取引きをしている被災地以外の大企業にも大きな影響を与えます。企業間のリスクを最小限にするため、多くの企業が従来の防災対策を見直し、発災時の対策をまとめた事業継続計画(BCP)の策定をしました。
また、労働契約法第5条において、企業は「労働者の安全への配慮」が義務付けられています。万が一、企業が十分に安全への配慮をしなかったことで従業員が被災してしまった場合に、被災した本人やその家族などから損害賠償を求められる可能性があるという内容です。
企業が十分な防災に取り組むことで、災害時に社員の命を失ってしまうリスクや、サプライチェーンの影響を減らし、事業継続・早急な事業復旧が見込めるのです。
事業継続を考慮した防災対策をおこなうため、企業が事業継続計画(BCP)の策定をすることは重要です。BCPとは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃など、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、事業資産の損害を最小限にとどめ、事業の継続・早期復旧のために、方針や体制、手順などを取り決めておく計画のことを指します。
従来、企業では地震、台風、パンデミックなど各災害の対策を個別に立てることが一般的でしたが、早期に自社の施設や設備が復旧できたとしても、事業の継続は難しいことが明らかになりました。サプライチェーンの崩壊や取引企業の営業停止により、事業の継続ができなくなることがないよう、「事業を継続するには何が必要か」をあらかじめ考えた上で計画するBCPこそが、企業が対応すべき防災対策です。
実際にオフィスで災害が起きた場合、道路や線路が崩壊し、タクシーや電車などの交通手段がないので、歩いて帰宅をしてしまうと落下物や大規模な火災に巻き込まれてしまう可能性があります。そのためライフラインの再開や救助が来るまでの間、オフィスで待機する必要があります。
企業は防災対策のため、従業員全員がオフィス内で待機することを考慮した防災備蓄品を備える必要があります。今回の防災セミナーでは、オフィスで被災したことを想定して、非常食の試食や携帯用トイレを使い、本当に必要な防災備蓄品は何か考える体験型の内容で実施しました。
会場全体を真っ暗にし、ライフラインが止まってしまったことを想定して、水を入れるだけで作れるアルファ米の五目ごはんを作ります。灯りは懐中電灯よりも、テーブルに置くと両手が塞がらないランタンの方が実用的だということを実感できます。水を入れて60分待つだけで完成しますが、暗闇の中で作り方が書かれたパッケージ裏面の文字は見にくいため、あらかじめ作り方を覚えておくと便利です。アルファ米はガスや電気がなくても簡単に作ることができ、災害時に重宝されますが、味の種類が豊富でアレルギー対応のものもあるので、長期の被災期間が想定された場合でも誰でも飽きずに食事ができることがメリットです。
精神的に参っている被災者にとって、温かく柔らかい食感の食事をとることが安心材料です。ガスや電気が止まった場合、ガスコンロや蓄電器が重宝されますが、オフィスで被災した場合は集団生活のため、全員が使用できる備蓄品を自分だけが使うことを遠慮してしまうこともあるようです。ガスや電気を使わず、水を入れるだけで一人分の食事を温められるモーリアンヒートパックは、こういったシチュエーションで活躍できます。
今回のセミナーでは、モーリアンヒートパックを使用して温かい赤飯も作ってもらいました。発熱材が入った専用袋に水の入ったアルファ米の赤飯を入れます。さらに専用袋に水をそそぐとすぐに発熱が開始され、15分ほどで完成します。ライフラインが停止した中でも簡単に温かい食事ができる便利さを感じられます。参加者のほとんどが、非常食を食べたことがなかったということもあり、味のおいしさにも感動してもらえたようです。
オフィスで被災をした場合に、水道が止まりトイレを使用できなくなります。運よく水道が止まらなかった場合でも、オフィスビルの配管にヒビが入ってしまっている可能性があるため、トイレの水を流すと汚水が逆流してしまうリスクがあります。また、仮設トイレが設置されるまでに最低3日、長くて1ヶ月以上かかることもあるため、携帯用トイレの備蓄は多めにしておくことが大切です。携帯用トイレは付属のビニール袋をトイレに設置して、排せつをした後に凝固剤をかけることで固めて捨てられます。セミナーの中では、排せつの代わりに水を流し、急速に固まる様子を見てもらいました。
成人は、一日に平均5~7回、1回あたり200~400mlの排せつをすると言われています。被災期間中、水洗トイレ機能が停止した状態で、これだけの量の排せつ物の衛生管理をするために携帯用トイレの備蓄が最も重要だということが分かります。
災害時の被害を最小限に抑えるために、自助・共助・公助の3つに取り組むことが重要です。セミナー中に投影した資料をもとに解説します。
水害などの大規模災害時では、行政、消防、警察、自衛隊、医療機関による救助の公助機能に限界があります。また、道路や交通手段に大きな被害が出ると物資を運ぶ物流にもおおきな影響がでます。そのため、企業は災害の被害を最小限にするため、自助や共助を実施して大規模災害に備えることが必要です。
自助とは、自分や家族の命と財産を守るために、「自分の身は自分で守る」という意識で、日常的に防災に取り組み、災害時の自分や家族を守る対応をすることです。共助とは、災害時に自分自身や家族の安全を確保した後、近所や地域の人と助け合うことを指します。
引用:内閣府 防災情報ページ
引用:災害・防災情報:令和6年能登半島地震における被害と対応について – 国土交通省(2024/5/21時点)
近年に起こった自然災害の死者数や被害の規模をまとめています。地震の規模の大きさや津波の影響で、最も多くの死者数となったのは、東日本大震災でした。こうした最悪の状況の中、命だけでも助かった被災者たちはどのようにして助かったのでしょうか。
平成初期に起きた阪神淡路大震災で被災した人々のアンケート結果では、家族や親戚(自助)、近所の人(共助)といったで助かった人が約70%でした。
引用:つくば市 公式ウェブサイト
出展:日本建築学会
このことから、自助や共助の重要性、公助の限界が分かります。
企業における自助や共助を実施するため、災害時に、オフィスで想定されるリスクを考えましょう。
大きなキャビネットやロッカーなど、大きな揺れがあった場合に転倒してしまう恐れがあります。転倒したオフィス什器の下敷きになり、逃げ遅れてしまう可能性があります。また、プリンターなどのキャスター付きのOA機器を設置している場合は、ストッパーの閉め忘れで移動してしまい、大きなけがを負ってしまうリスクもあります。
災害時、家族や自宅の財産の心配で帰宅したいと考える従業員が出る可能性があります。本記事で伝えた通り、災害時の帰宅は大きなリスクがあるため、最低3日間のオフィス待機期間が発生します。企業のBCP方針が定まっていない場合に、災害時、帰宅困難者たちがパニックを起こしてしまい勝手に帰ってしまい、被害を大きくしてしまうリスクがあります。
地震被害で命を取り留めたとしても、被災生活で疲弊してしまい、命を落としてしまう震災関連死のリスクがあります。エコノミークラス症候群や、栄養障害による持病の悪化で亡くなってしまったという事例も多く、熊本地震では地震による直接の死者数を大きく上回る数の震災関連死者数でした。
さまざまな災害時のリスクを考えた上で、企業が取り組むべき具体的な防災対策の一部を紹介します。
キャビネットや棚をはじめ、オフィス什器の転倒のリスクを抑えるため、耐震固定をすることが重要です。さらに基礎の打ち増しやひび割れの補強、外壁やクロスの下地に耐震壁を設置することで耐震補強ができます。また、オフィス自体の耐震基準に満たしているか確認する必要があります。1981年5月以前に建てられた古いオフィスビルの場合は、旧耐震基準で建てられている可能性があるため、オフィスを移転することも検討すると良いでしょう。
非常食などの防災備蓄品をオフィス内に備えている企業は少なくありませんが、備蓄品には賞味期限や部品の経年劣化があるため、定期的に見直す必要があります。また、被災地で過ごした人が本当に役に立った備蓄品は何かヒアリングし、取り入れることも大切です。また、従業員分の備蓄品を用意する必要があるため、増員している場合には買い足す必要があるでしょう。特に、備蓄品の導入時期が古い場合には、適宜見直しをすることをおすすめします。また備蓄スペースが足りない場合は、備蓄スペースの増設や、オフィス移転をすることで、企業防災に適したオフィス環境になるでしょう。
発災時、あらゆるパターンでどのように行動すればよいか、対応手順を計画することが重要です。BCPの一環ですが、対応手順を決めておくことで、緊急時にパニックにならず冷静に対処できるでしょう。また、計画するだけではなく、従業員の誰しもがいつ発災しても冷静でいられるように情報共有をしておくことが重要です。
オフィスで発災した場合は、災害の規模によってすぐに帰らせる必要がある場合や、オフィス待機が必要な場合などさまざまです。発災時は、災害規模の大きさや交通経路情報など、情報網を駆使して状況把握を順次適切に行うことが必要ですが、「震度7以上の大きな地震の場合は3日間オフィス待機が必要」など細かなルールを作成し、従業員全員に共有することが大切です。また、オフィスの規模的に従業員全員を待機させることが難しい場合などは、リモートワークを取り入れることで、自宅待機で従業員の安全を確保できます。
リモートワークや出張などで、オフィス内に従業員がいないことは多くあるでしょう。そういった場合に、安否確認ができるツールを導入することで、誰が安全な状況かそうでないのかを一斉に把握できます。しかしながら、大きな災害の場合は、通信が混雑してしまう場合や通信が途絶えてしまう可能性もあります。能登半島地震でも多くの人の通信が途絶え、迅速な被害状況の把握や安否確認の障害があったこともあり、2024年7月、iPhone14.15の機能で圏外でも衛星通信による「緊急SOSサービス」が始まったようです。安否確認ツールと併用して、活用することで安心です。
引用:日本経済新聞
備蓄品の見直しやBCPの策定であらゆるルールや手順を取り決めても、従業員が把握していないと緊急時に役に立ちません。まずは従業員への共有をし、どのように行動する必要があるかを認識させるため防災研修を実施することで、緊急時に社内全体で迅速な対処ができます。まずは、防災セミナーの参加を通じて、防災について意識づけることから始めることも大切です。今回の防災セミナーでは、講習や非常食の試食のほか、実際に防災備蓄品を使用して使い心地や利便性を感じていただく展示会、さらに職場や自宅の避難場所や検索地域の被害想定、災害時の被害状況などを確認できるハザードマップの使い方を防災士がレクチャーする講習を行いました。普段からツールを活用して、災害時に備えることで企業防災における自助を実施できます。
オフィスでの災害が起きることを想定して、どれほどのリスクがあるかを事前に予測し、どのような対処をするか従業員全員が認識していることで、災害後も事業継続ができる環境をつくることができます。
BCPの策定やオフィス環境の見直しなど、企業防災に努めることで、取引先や従業員が安心できる組織づくりができます。
ハタラクバデザインでは、テナント物件のご紹介から内装工事を含む各種工事、オフィス家具の設置にいたるまで、ワンストップで実施できるところが強みです。
現在、大阪市周辺で年間200件以上のオフィス施工実績があります。
オフィスにおける各種工事を検討されている場合は、ハタラクバデザインへお気軽にお問い合わせください。
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