
オフィスの動線を工夫すれば効率アップ!コツ・レイアウトパターンを紹介
オフィスレイアウトを考える際に重要なのが「動線」です。社員がどのように動くのかをシミュレーションして、適切な動線を確保しなければ様々な弊害が生まれます。 例えばよく使う複合機が遠くにあると不便だったり、人が通るたびに椅子を引く必要があると集中が途切れたり、動線が上手く作られていないと業務効率が悪くなります。 そのためオフィスの動線を工夫すれば、従業員の業務効率が上がり業績アップにもつながるかもしれません。 とはいえどのように動線を工夫すれば、効率が良くなるのか考えるのは難しい問題です。 そこでオフィスの動線を効率よくするコツや、レイアウトのパターンを紹介します。オフィス移転や人員増加などで、動線を考える際の参考にしてみてください。
オフィスレイアウトの2つのポイント
効率よく快適に働けるオフィスにするためには、以下2つのポイントを考慮する必要があります。 1. ゾーニング 2. 動線計画 まずゾーニングとは従業員の人数や仕事内容、動き方に合うように、オフィスを複数のゾーンに分けることを言います。 例えばワークスペースや応接室、会議室・ミーティングルーム、収納スペースなど、使用目的に応じてゾーン分けします。 そして合わせて考えていきたいのが、動線計画です。 従業員や来客がオフィス内をスムーズに移動でき、複合機のような共用設備を活用しやすいように、各ゾーンの配置やデスクレイアウトを決めていく作業です。 この動線が上手くできていないと、業務効率が下がってしまうでしょう。
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オフィスの動線が悪いと業務効率がダウンする
オフィスの動線が悪いと、業務効率がダウンします。 例えばよく使う複合機が奥まった所に配置されていると、何度も立ち上がらなくてはなりません。無駄な動きが増えるため、業務効率はダウンしてしまいます。 また通路の幅が狭く通りにくいと、誰かが通るたびに椅子を引かないといけなくなります。すると作業をしている人の集中力を、途切れさせてしまうでしょう。 こうしたように動線が悪ければ、動きにくかったり無駄が増えたりします。 業務効率が低下するのはもちろん、日常の些細なストレスの積み重ねが、モチベーションの低下を招くかもしれません。 そのため動線計画は従業員の動きをシミュレーションして、「動きやすさ」と「無駄のなさ」を追求する必要があります。
オフィスの動線計画を失敗しない6つのコツ
オフィスの動線は業務効率や従業員のモチベーションなど、様々な面から重要な要素です。 オフィスの動線計画に失敗すると、働きにくいオフィスになってしまいます。 とはいえ慣れている人でなくては、動線を考えるのは難しいでしょう。 そこでオフィスの動線計画を失敗しないための、6つのコツを解説します。
動線はシンプルに
できるだけシンプルな動線にすることが大切です。 色々な移動パターンを考え、多種多様な動線を想定してしまうと、動線の数が多い複雑なオフィスレイアウトになってしまいます。 もし分岐や行き止まりの多い迷路のようなオフィスになってしまうと、移動するだけでも大変なのは明らかです。 複雑なオフィスレイアウトになれば、移動しにくくなったり、移動が面倒になったりするので、動線は多ければ多いほど良いというわけではありません。 新入社員や初めて来社したお客様でも、一目見て最短ルートが分かるような、直感的に移動できるシンプルな動線がベストです。
メインとサブの動線を作る
1つの目的地に向かう動線を、メインとサブの2つ想定しておきましょう。 動線が1つしかないと、万が一通れない場合に辿り着けなくなってしまいます。例えば通路を掃除していたり、荷物を一時的に置いていたりするような場合が考えられます。 そんな場合に通れる迂回路があれば安心です。 メインは人が行き交えるほど広い幅が必要ですが、サブはそれほど通路の幅は必要ありません。 特に出入り口や複合機といった、人が集中しやすい場所への動線は、メインとサブの動線があると混雑しにくくなり便利です。 基本的にはシンプルな動線がベストですが、人が集まりやすい場所はサブの動線を設けましょう。
通路幅・デスクとの間を十分に確保する
通路幅・デスクとの間は十分に確保しましょう。 一人通るのがやっとな狭い通路では、渋滞が起こったり、椅子を引かないと通れなかったりと何かと不便です。 毎回のこととなれば、ストレスに感じるでしょう。 わずかなストレスも毎日繰り返せば、大きなストレスへとつながります。 また椅子を動かさなければ通れない場合は、集中力が途切れてしまいます。 できるだけ余裕を持った通路を確保することで、快適なオフィスにしましょう。
メイン通路の幅
JOIFA(日本オフィス家具協会)では日本人成人の標準的な肩幅を、46〜50cmとしています。 社員同士が行き交うメイン通路は、複数人が余裕を持って通れるように、最低でも120cmは確保しましょう。
デスクと壁の間
デスクに座った際は50cmほどのスペースが必要で、立ち上がる際に椅子を動かすことも考慮すれば75~90㎝は必要になります。 そのため座席と壁との間は、150cmほどあれば余裕を持って通過できます。
デスクとデスクの間
背中合わせでデスクワークをする形であれば、デスクとデスクの間は180cmほどあれば余裕で通れるでしょう。 また横並びのデスク配置の場合であれば、デスクとデスクの間は90cmほどあれば十分です。120cm以上あれば余裕が生まれるので、安心して通れます。
非常時の避難用動線を設ける
仕事中の動きだけではなく、非常時の避難用動線も設けましょう。 業務中に火災や地震などの災害・事故が発生した場合に、避難用動線があるとないとでは、避難スピードに大きな差が生まれます。 大切なのはオフィスのどこに居ても、避難用動線へスムーズに辿り着けることです。 ゾーニングで分けた各エリアから、非常口まで素早く逃げられるように考えましょう。 また避難用動線は遮断されないことが重要です。せっかくの避難用動線であっても、棚や荷物が崩落して災害時に通れなくては意味がありません。 そのため避難用動線には崩落してくるようなものは置かず、家具が倒れても十分に通れるような、広いスペースを確保しておきましょう。 加えて防災バッグをすぐに持ち出せるように、避難用動線上に配置しておくのも大切です。
法規上の通路幅の制限を踏まえる
オフィスを作る上で守らなければならない一定のルールがあり、代表的なものとして建築基準法と消防法が挙げられます。 どちらの法律でも通路幅の規定があり、荷物や書類などで幅が狭まっている場合は、是正勧告を受けるかもしれません。 最低限のルールを遵守した上で、自社のオフィスに相応しい動線を作る必要があります。
関連記事:オフィスレイアウトで重要な消防法・建築基準法・寸法について
動線計画を見直す
最後に動線計画を見直しましょう。 当然ながらデスクや複合機などを配置してからでは、もう一度変更するのは難しくなります。実際に行動へ移す前に、いま一度見直しましょう。 チェックのポイントは、「余分な動線」や「足りない動線」があるかどうかです。 必要のない動線があればデッドスペースになるので、オフィス面積の無駄使いとなります。 また必要な動線が不足していれば、業務効率が下がったり、従業員にストレスを与えたりしてしまうでしょう。 単に図面を見直すのではなく、従業員の各座席をスタート地点として実際に移動してみると、気づかなかった問題に気づきやすくなります。 もし座席ごとでゴールまでの距離にばらつきが大きいなら、必要な動線が欠けているかもしれません。 座席ごとの移動時間の差が小さくなるように、動線を考えましょう。
オフィスレイアウトのパターン5種類
快適に効率よく働けるオフィスにするためには、適切な動線計画が欠かせません。 しかしオフィスレイアウトを完全に白紙の状態から考えるのは、ひと苦労です。 そこでオフィスレイアウトのベースとなる、代表的な5つのパターンを紹介します。 実際に計画する際は、ワークスタイルや業務内容に合うレイアウトパターンを基に、自社に合わせて細かく調整しましょう。
島型(対向式)レイアウト
島型レイアウトはデスクを向かい合わせにする方法です。 部署やチームごとに島で分けるので、他のメンバーとスムーズにコミュニケーションできるのが特徴です。バランスの良さから、最も一般的なレイアウトとなっています。 ただし向かい合うため、互いに視線が気になりやすく、集中しにくくなるというデメリットがあります。 また他の部署やチームと離されるため、社内での交流が生まれにくくなるのもデメリットです。 向いている職種:事務職や営業職など。様々な職種に対応可能
背面対向型レイアウト
それぞれのデスクを背中合わせに配置する方法です。 チームメンバーが互いに背を向けているため、視線や周りの人が気になりにくく、集中しやすくなるのがメリットです。 また振り返るだけでコミュニケーションを取れるので、集中と連携がバランスよく必要な企画職や開発職、システムエンジニアなどの業務に適しています。 ただしチームリーダーがメンバーの状況を、把握しにくいというデメリットがあります。 他にも他部署との連携が難しかったり、スペースを広く使ってしまったりする点もデメリットとして挙げられるでしょう。 向いている職種:企画・開発職など。チームでの協同作業と集中の両方が求められる職種
同向型(スクール式)レイアウト
学校の教室のように、一方向を向いて配置するレイアウトです。 銀行や不動産会社のような店舗型ビジネスや、個々の業務にある程度の集中力が求められるオフィスに適しています。 全員が同じ方向に向くため、他人の視線が気にならず、集中力を保ちやすいのがメリットです。 ただし横の席以外とは、コミュニケーションを取りづらいというデメリットがあります。そのため密な連携が求められるオフィスには、不向きなレイアウトです。 向いている職種:銀行や不動産会社など来客を迎える店舗、受付業務がある秘書室、コールセンターのオペレーター室など
ブース型レイアウト
パネルやパーテーションでデスクを囲むことで、オフィス内に個々人の空間を生み出す方法です。 視線や雑音など集中を阻害する様々な要因を排除できるため、非常に高い集中力を発揮しやすくなります。 プログラマーやデザイナーなど、高い集中力を要する業務の生産性やクオリティを高めるのに適しています。 ただし個人が作業に集中できるようになっていることで、他部署はもちろんチーム内でのコミュニケーションや連携が取りにくくなるのがデメリットです。 向いている職種:プログラマー、デザイナーなど。個人で集中して行う業務が多い職種
フリーアドレス型レイアウト
個人に特定の固定デスクを用意せず、その日その時の状況に応じて自由に席を選択してもらうレイアウトです。 デスクの配置自体は、島型レイアウトを採用する場合が多い傾向にあります。 営業で終日外出している人がいたり、在宅勤務の人がいたりしても、スペースを効率よく使えるのがメリットです。 また座席が流動的になることで、普段あまり交流しない他部署や他チームと話す機会が増えます。その結果、新たなアイディアやコラボレーションの発生につながるというメリットもあります。 外出が多い営業職や在宅勤務が可能な職場など、座席が空きやすいオフィスに向いているレイアウトです。 ただし座席を固定しないことで、メンバーの進捗管理をはじめ職場内のマネジメントに、従来とは違った工夫が必要です。 向いている職種:出張・外出が多い営業職や在宅勤務の多いオフィスなど
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オフィス内をどのように動くかシミュレーションして動線を考えよう
効率よく快適に働けるオフィスは、業務効率を高めるのはもちろん社員のモチベーションアップにもつながります。 そんな理想的なオフィスにするためには、適切な動線計画が欠かせません。 従業員が普段どのように動いているのか、動きやすくなるのかを入念にシミュレーションして、動線を作りましょう。 ワークスタイルや業務内容に合った動線計画を立てることは、働きやすい理想的なオフィスへの第一歩です。オフィス移転や人員増加などの際は、しっかりと動線を考えてみてください。