
オフィスの防災対策の必要性と基本知識。オフィスの防災に最適なレイアウトの考え方と実践方法をご紹介。
自然災害の多い日本では、台風や地震などの災害が、いつ身に降りかかってくるか分かりません。 一般家庭はもちろん、企業も災害リスクを認識し、その内容に備えた防災対策が必要です。 この記事では、オフィスの防災対策の必要性と基本知識について解説します。
目次[非表示]
オフィスで起こり得る災害のリスクとは?

1. 火災
オフィス火災は発生頻度こそ高くありませんが、一度起きると事業継続に致命的な被害をもたらします。地震に伴う発火のほか、コンセントのトラッキング現象やたこ足配線などの電気系統トラブル、タバコの不始末が主な原因です。初期消火に失敗して火災が拡大した場合、紙の重要書類やPC・サーバーが焼失し、データ復元不能による業務停止や情報流出など、多大な経営リスクにつながります。
2.地震
地震発生時、オフィス内の大型収納庫やパソコン、ガラスパーテーションなどの設備備品は凶器となり得ます。激しい揺れによって高所の収納物が落下して負傷したり、倒れたオフィス家具が出入口を塞いで避難経路が断たれたりする危険があります。また、窓際に配置した什器がガラスを突き破って屋外へ落下し、通行人に危害を加える二次災害のリスクにも注意が必要です。
3.水害
他の災害としては、洪水や津波などの水害もあります。 平成30年7月6日前後に記録的な大雨が襲い、広範囲に被害をもたらした西日本豪雨の教訓を生かして、多くの企業が水害対策について見直し積極的に取り組むようになりました。 水害では主に、浸水による機器全損やネットワーク基盤の崩壊、重要書類の汚損などのリスクが考えられます。被害を最小限に抑えるために企業でも水害対策を行うことが大切です。 また、従業員を守るために、ハザードマップを確認し、大きな水害の際にはどこに避難すべきなのかを従業員に周知し、 避難場所の情報共有を行っておくとよいでしょう。
オフィスの防災対策の必要性
1. 社員の命と安全を守るため
地震、火災、台風などの災害はいつ起きてもおかしくありません。 オフィス内にいる社員や来客を安全に避難させるためには事前の備えが不可欠です。 家具・設備の転倒・落下防止や避難経路の確保など、社員の命と安全を守るためにも日頃から備えておくことが大切です。
2. 業務継続(BCP)のため
災害で設備やデータが失われると、事業の継続が困難になります。 防災対策は、BCP(事業継続計画)の一部として非常に重要です。
3. 法的義務と企業責任
労働安全衛生法や消防法では、一定規模以上の事業所に防災管理義務が課されています。 万が一の災害で対策が不十分だと、企業の責任が問われる可能性もあります。
4. 企業イメージ・信頼性の向上
防災への取り組みは、「社員思いの会社」「安心して働ける企業」という印象を与えます。 こういった印象は、採用活動や信頼獲得にもつながります。
オフィスで起こりやすい火災

安全面でオフィスレイアウトを考えるにあたって、火災対策も重要です。
1.収れん火災
まず、気を付けたいのは、太陽光の熱を集めることで発火する収れん火災です。 収れん火災とは、鏡や金魚鉢などを窓側に設置した結果、一種のレンズのような役割を担って発生する火災です。
2.トラッキング火災
コンセントとプラグの間にたまったホコリが、湿気を吸収するとプラグの両刃の間で通電が起こり、やがて熱を持って発火してしまうトラッキング現象を原因とした火災です。 洗濯機や冷蔵庫など長い間プラグを差し込んだままで使っている家電製品で、キッチンや洗面所付近など湿気が多い場所で起こる可能性があります。
3.タコ足配線の使用による発火
たこ足配線による火災は、容量オーバーやホコリが原因で起こる場合が多いです。 コードの間にほこりが溜まり、そのほこりがコンセントに付着し、発火が起こります。
4.ロウソク火災
地震で停電が発生したときにも気を付けなければならないことがあります。 それがロウソク火災です。 照明の変わりにロウソクを使ったために、余震などの影響でロウソクが倒れ、火災が発生した事例が過去多く報告されています。
防災対策を考えたオフィスレイアウト

オフィス家具の配置と固定
地震などの災害発生時に転倒することで社員の負傷や避難経路を塞いでしまうリスクがあります。 実際、1995年に発生した阪神・淡路大震災では、5,000人以上の死者が発生しましたが、その死因の9割が倒壊した家屋や家具などの下敷きによる圧死や窒息死でした。 大きな地震が発生してもオフィス家具が転倒してしまわないように、オフィス家具を床や壁へ固定する耐震固定工事やオフィス家具同士の連結固定施工を行うことをおすすめします。
避難通路の確保
火災や地震・水害が発生したときにメインとなる避難通路は、シンプルに直線上になることが理想的で避難通路の付近には転倒や落下の危険性があるオフィス家具等を配置しないようにします。 避難してくる人が合流する場所は見通しを良くし、広いスペースを確保します。 無理なく人が行き交えるような幅の目安を考慮して、1,200mm以上の道幅を作りましょう。
ガラス事故と二次災害の防止
窓ガラスが割れて飛散するリスクを考慮し、窓から1m以上離してデスクを配置するか、窓ガラスに飛散防止フィルムを貼るなどの対策が有効です。また、ガラス製パーテーションを避け、軽量な不燃パネルやアクリル製のパーテーションの採用なども怪我のリスクを抑えられます。
防災装備・備蓄品へのアクセス最適化
発災直後に頭部を保護できるよう、全員のデスク下や背もたれにヘルメット・防災頭巾を常備しておきましょう。救急箱や非常食、ライトなどの共有備蓄品は、社員全員が把握しやすく避難経路の近くにある収納に保管しておくことが大切です。
非常用進入口の近くに家具を置かない
3階建て以上の建物にオフィスが入っている場合、窓に三角のマークがついているはずです。 赤いこのマークは、消防隊が侵入する入り口を意味しています。 もし、この窓の近くに収納庫やロッカーなどのオフィス家具や荷物を置いていると、消防隊の救出作業の妨げにもなりかねません。 この部分にはできるだけ余計な荷物を置かないことも安全性の観点から大切です。 オフィスの上部に排煙窓が設けられていることがあります。普段は使用することもないのであまり意識することはありませんが、火災などの非常時に煙を排出するためのものです。 この窓はボタンやハンドルで操作するのですが、この操作パネルが隠れているオフィスも珍しくありません。 もし、操作パネルをオフィス家具などで覆っている状態であれば、速やかに見直さなければいけません。
オフィスに必要な防災備蓄品とは?
オフィスにおいて備えておくべき防災備蓄品には、いくつかの種類があります。これらは自然災害や火災、事故など、想定される災害に対処するために必要です。主な備蓄品には以下のようなものがあります。
1.食料品
簡易食品や非常用の保存食は必須です。非常食にはさまざまな種類があり、それぞれに応じた特徴があります。乾パンやアルファ米、缶詰など、保存期間が長く、調理不要なものが好ましいです。1人あたり1日3食を基本とし、3日分で9食を準備しておくことが望ましいです。
2.水
オフィスに備蓄する非常食の水は、従業員1人あたり1日3リットル、3日分で9リットルを目安に備蓄するのが望ましいです。この期間は、震災などの大規模災害が発生した場合に、救援物資や水・食料が行き届くまでの緊急対応の期間を考慮しています。ただし、地域やオフィスの立地条件により交通が遮断されやすい場合などでは、より長期の備蓄が望ましい場合もあります。
3.医療品応急処置セットや常備薬、消毒薬
医療品応急処置セットや常備薬、消毒薬 などは、怪我や病気に備えるために必要です。消毒用アルコール綿や滅菌ガーゼ、包帯、絆創膏、はさみやピンセットなどを備えておくことで、出血や軽微な怪我に対して即座に対応が可能になります。
4.懐中電灯やラジオ
懐中電灯やラジオ は、停電時には情報を得るために役立ちます。懐中電灯は、LEDライトのものを選ぶことで長時間使用が可能になります。手軽に使えるサイズのものを選定し、各デスクや共用スペースに配置するとよいでしょう。
また、災害時には電話やインターネットが繋がらないこともあります。このような時、ラジオは重要な情報源となります。オフィスで使用するラジオには、電池式のものを選ぶとよいでしょう。
5.モバイルバッテリー
災害時にスマートフォンやその他の電子機器を充電可能にしておくことは、情報収集や連絡手段の確保において非常に重要です。モバイルバッテリーは、停電中でもスマートフォンやタブレットの電源を確保できるため、緊急時の通信手段を維持するのに役立ちます。
非常食の保存期間と入れ替えのタイミング
非常食の保存期間は種類によって異なりますが、多くの非常食は3年から5年の保存が可能です。しかし、購入日から記録を取り、定期的にチェックを行うことで、期限切れによる無駄を防ぎましょう。推奨されるのは、年に1度の入れ替え確認です。また、非常食を入れ替える際には、古いものを廃棄せず、従業員に提供する等の工夫も有効です。
品目 | 保存期間 |
飲料水・保存食 | 3〜5年(最長10年) |
簡易トイレ・衛生用品 | 約10年 |
乾電池・バッテリー | 3〜5年 |
防災ヘルメット | 3〜5年 |
救急用品・消毒液 | 2〜3年 |
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オフィスレイアウトを見直すことで避難経路を確保するだけでなく、オフィス家具の転倒・落下によるケガの発生を防ぎ、社員の命を守れる可能性が上がります。 火災や地震・水害などが発生したときに、起こり得るリスクを列挙して対策を進めることが大切です。 一般的にオフィスレイアウトをするときは、ゾーニングを行い、その場に適したオフィス家具を選択し配置するという手順となります。 それぞれの設計段階で防災対策を意識することが重要です。
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