欄間オープンとクローズの違いとは?メリットとデメリット、注意点を解説

オフィスの間仕切り工事を検討する際に悩みやすいのが、「欄間(らんま)をオープンにするか、クローズにするか」という選択です。

一見すると小さな違いに思えますが、空調や消防法対応、工事コスト、防音性やセキュリティなどに大きな影響があります。

この記事では、欄間オープンとクローズの基本的な違いを整理したうえで、それぞれのメリット・デメリット、導入時に注意しておきたいポイントを分かりやすく解説します。

「快適性を優先するのか」「プライバシーや防犯を重視するのか」など、オフィスの用途や目的に応じて適切な方法を選ぶ参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 欄間(ランマ)とは?
  2. 欄間オープンとクローズの違い
  3. 欄間オープンのメリット
    1. 空調設備を増設する必要がない
    2. 消防設備や届け出が不要になる場合が多い
    3. 設備工事が少なくコストを抑えやすい
    4. 通気性・採光が確保できる
  4. 欄間オープンのデメリット
    1. 防音性・遮音性が低くなる
    2. セキュリティ性が下がる
    3. 欄間が目立ってデザイン性を損なう場合がある
  5. 欄間オープンとクローズそれぞれの注意点
    1. 欄間クローズの注意点
    2. 欄間オープンの注意点
  6. オフィスの間仕切り工事は実績が豊富なハタラクバデザインへご相談ください

欄間(ランマ)とは?

欄間(らんま)とは、パーテーション(間仕切り)の上部で天井との間にある開口部を指します。もともとは日本の伝統建築で鴨居(かもい)と天井の間に設けられ、透かし彫りなど装飾が施されながら採光や換気に役立てられてきた部分です。

現代のオフィスでも同様に、パーテーション上部の欄間部分を開けて空気や光を通すことで快適性を高める用途があります。また、パーテーション施工ではこの欄間部分の扱いによって「欄間オープン」と「欄間クローズ」の二種類に分かれます。欄間オープンは天井との間に隙間を空ける施工方法で、欄間クローズは天井まで塞いで隙間を作らない施工方法です。

欄間オープンとクローズの違い

欄間オープンと欄間クローズでは、音や空調、セキュリティ、コスト面などに違いが生じます。以下の表に主な違いをまとめました。

項目

欄間オープン

欄間クローズ

遮音性能

低い(音漏れしやすい)

高い(音漏れしにくい)

セキュリティ性

低い(隙間から侵入される恐れ)

高い(完全に区切られ侵入困難)

空調・換気

良好(空気が循環し空調増設不要)

要対策(個別空調や換気設備が必要)

コスト・工期

抑えやすい(追加工事・手続き少)

増大傾向(設備工事・届出が発生)

欄間オープン型は天井との隙間から空気が行き来するため通気性が確保でき、基本的に増設の空調設備なしでも各空間に空調を行き渡らせることが可能です。

反対に欄間クローズ型は天井まで完全に仕切るため防音性・密閉性に優れますが、独立した空間となることで消防法の規定により空調設備や非常灯・火災報知器等の消防設備増設、および消防署への届け出が必要になるケースがあります。

欄間オープンのメリット

欄間オープン施工には、コストや工事の手間を抑えられるなどさまざまなメリットがあります。主な利点を順に解説します。

空調設備を増設する必要がない

欄間オープンにする最大のメリットの一つは、空調設備の追加設置が不要になりやすいことです。パーテーションを天井まで塞いで部屋を完全に分割すると空気の流れが遮られるため、それぞれの部屋にエアコンや換気設備を別途設置しなければなりません。

しかし欄間オープンの場合、天井との間に隙間があることで空気が各スペース間を循環できるため、新設した空間ごとに個別の空調機器を設置する必要がなくなります。既存の空調を共有できるぶん、設備コストの削減にもつながります。

消防設備や届け出が不要になる場合が多い

欄間クローズで個室を作ると消防法上「部屋が増えた」とみなされ、火災報知器やスプリンクラー、非常灯など消防設備の増設と、工事前に所轄消防署への「防火対象物工事等計画届出書」等の提出が必要になります。

その点、欄間オープンで上部に一定以上の開口があれば新たな独立部屋とは見なされないことが多く、消防設備の増設や消防署への届け出が不要となるケースが大半です。手間のかかる消防手続きや設備工事を省略できるため、スムーズに間仕切り工事を進めやすい点もメリットです。

※ただし開口部の寸法やオフィスの条件によっては、欄間オープンでも消防設備の設置や届け出が必要となる場合があります。

設備工事が少なくコストを抑えやすい

欄間オープンは、追加の設備工事がほとんど発生しないため低コストで施工しやすいというメリットがあります。空調機器や消防設備の増強を要さない場合が多いため、その分の工事費用を節約できます。

また、消防署への申請手続きに伴う時間や手間も軽減でき、トータルの工期短縮にも寄与します。このように欄間オープンは、限られた予算や短いスケジュールで間仕切りを行いたい場合に適した方法です。

通気性・採光が確保できる

パーテーション上部を開放することで、通気性が良くなり、部屋の空気がこもりにくくなります。ドアだけでなく上部からも空気の出入りがあるため、個室になっても空気が淀みにくく快適な室内環境を保ちやすいです。

また、隣接するスペースから光や視線を取り込めるため、空間全体が明るく開放的な印象になります。小さな部屋でも天井近くに開口部があることで圧迫感が軽減される効果もあり、オフィスを閉塞感なく区切ることが可能です。

欄間オープンのデメリット

一方で欄間オープンには、音漏れやセキュリティなど注意すべき短所も存在します。導入前に把握しておきたいデメリットを挙げます。

防音性・遮音性が低くなる

欄間オープンは上部に隙間があるため、音が漏れやすく防音効果が下がる点に注意が必要です。天井まで壁で塞がれていない分、会話や物音が隣室・廊下に伝わりやすく、完全なプライバシー確保が難しくなります。

そのため、社外秘の会議室や静粛性が求められる空間には不向きです。用途によっては重要な打ち合わせスペースは欄間クローズにする、あるいは吸音素材を用いるなど、防音対策を検討する必要があります。

セキュリティ性が下がる

欄間オープンではパーテーションと天井の間に人が出入りできる隙間が生じる可能性があります。そのため、施錠された個室であっても、不審者が侵入するリスクが考えられます。特に社長室やサーバールーム、機密書類の保管庫といった重要エリアでは、欄間オープンにすると防犯面で脆弱になる点に留意しましょう。

どうしても欄間を開ける必要がある場合には、侵入防止バーを設置することで一定のセキュリティ強化が可能です。オフィスのエントランスや役員室、重要書類の書庫などに欄間オープンを採用する際は、このような対策を講じましょう。

欄間が目立ってデザイン性を損なう場合がある

天井との間に隙間が開いた状態になる欄間オープンは、見た目のデザイン面でデメリットとなることがあります。壁が途中で切れて上部に空間が見えているため、間仕切りとして一体感に欠ける印象を与えかねません。

オフィス全体をすっきりしたデザインで統一したい場合、欄間の開口部が後付けの印象を与えインテリア性を下げてしまうケースもあるでしょう。この対策として、パーテーション上部にガラスパネルをはめ込んで光を通しつつ見た目をフラットに仕上げる方法もあります。

ただし、ガラスを入れて密閉してしまうと実質的には欄間クローズと同様になり、別途空調や消防設備への配慮が必要です。

欄間オープンとクローズそれぞれの注意点

最後に、欄間オープンと欄間クローズを採用する際の注意点を整理します。どちらを選ぶ場合でも、事前に確認しておきたいポイントがあります。

欄間クローズの注意点

欄間クローズでパーテーション工事を行う場合、新たにできる個室について消防法と建築基準法を順守する必要があります。具体的には、施工開始の7日前までに所轄消防署へ工事計画の届出を提出し、完了後にも使用開始の届出を行わなければなりません。

さらに各独立部屋ごとに火災報知器やスプリンクラー、非常灯など必要な消防設備を増設し、既存のものと合わせて正常に機能するようにしなくてはなりません。空調・換気面でも、密閉された部屋ごとにエアコンの設置やダクト配管など空調計画の見直しが必要です。工事は費用や時間がかかるため、予算やスケジュールに余裕を持って計画を立てましょう。

欄間オープンの注意点

欄間オープンで間仕切りをする際は、防音・防犯対策と法規制の2点に気を配る必要があります。まず、防音性が下がるため機密情報を扱う部屋や集中スペースには不向きです。そうした用途では、間仕切り方法自体を見直すか、開口部に吸音パネルを設置するなどの工夫が求められます。

防犯面では、前述の侵入防止バーを取り付けることで一定の侵入抑止効果を持たせることができます。特に外部から人が入れるエントランス直結の小部屋などに欄間オープンを用いる場合は、必ずこのような対策を講じましょう。

オフィスの間仕切り工事は実績が豊富なハタラクバデザインへご相談ください

欄間オープンと欄間クローズは、オフィスの間仕切り手法としてそれぞれメリット・デメリットが存在します。欄間オープンは通気性・採光に優れ、空調や消防設備の追加工事が抑えられるためコストや工期の面で有利です。

一方、欄間クローズは防音性・セキュリティ性に優れ、プライバシー確保に適していますが、法令対応や設備工事の負担が増します。オフィスの用途や重視したいポイントを整理し、適切な工法を選択することが大切です。いずれの方法でも法規制の確認は不可欠ですので、不明点は専門の施工業者に相談しながら進めると安心です。

ハタラクバデザインでは、オフィスのデザイン・レイアウト作成だけでなく、テナント物件のご紹介から内装工事を含む各種工事、オフィス家具の設置にいたるまで、ワンストップで実施できることが強みです。

レイアウト変更や各種工事をご検討されている場合は、大阪市周辺で年間200件以上のオフィス施工実績があるハタラクバデザインへお気軽にお問い合わせください。


ハタラクバデザイン 編集部
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