
オフィスがうるさいと感じる原因とは?静かにする対策と防音レイアウト
業務に集中しにくいオフィス環境の原因として、騒音や音の拡散が注目されています。電話やオンライン会議、機器の動作音、オープンなレイアウトなど、日常的な音が重なり、働きにくさにつながっている企業も少なくありません。
本記事では、オフィスがうるさい原因を整理し、音環境の改善に向けた具体的な設備・レイアウト対策を紹介します。快適で生産性の高い職場づくりの参考にしてください。
オフィスが「うるさい」と感じる主な原因
オフィス内で発生する音は、業務上避けられないものも多く含まれます。しかし、空間設計や運用の工夫が不足していると、音が過度に響いたり拡散したりして、結果的に「うるさい」と感じられる状況が生まれます。
ここでは、主に4つの物理的・構造的な要因に焦点をあてて解説します。
電話・オンライン会議の音声
オフィスで「うるさい」と感じる声の多くは、電話やオンライン会議による音声です。近年、オンライン会議の増加によって、この問題はより目立つようになってきました。
ヘッドセットを使っていても、話す声が周囲に響き渡り、空席のデスクやパーテーションで反響しやすく、結果としてオフィス全体に音が広がってしまいます。
雑談・立ち話が発生しやすい導線
コピー機や給湯室、トイレなどへの通路が執務席のすぐ近くにあると、移動中の立ち話がダイレクトに聞こえてきます。オープンオフィスでは壁がなく、音を遮るものが少ないため、会話の声が空間に残りやすいという構造的な課題があります。
また、固定席の場合、通路側の席の人だけが常に話し声にさらされるという不公平さも生じます。導線上に意図的に「マグネットスペース(雑談用スペース)」を設けることで、会話の発生場所をコントロールし、執務席への音の流入を防ぐことが可能です。
キーボード・OA機器などの機械音
一部のキーボードでは、タイピングの音が70~80dBに達する製品もあり、電話のベル音と同程度の音を発します。高速印刷を行う複合機やシュレッダーも同様に、断続的に大きな音を発生させます。
とくに在宅勤務者が多い日や夜間のように静かな時間帯では、こうした機械音が強調され、うるさいと感じる原因になりやすい傾向があります。
静音キーボードの導入や、OA機器を別室(サテライト室)に設置するだけでも、体感的なうるささが低下することがあります。
反響・音漏れしやすい内装
コンクリート仕上げの床やガラスの多い内装は、音を吸収しにくいため、反響音が残りやすくなります。さらに、パーティションの高さが腰の位置までしかないと、音が上部から漏れて「フラッターエコー(音が往復反射する現象)」が発生しやすくなります。
壁や天井にグラスウール製の吸音パネルを設置し、床には厚手のタイルカーペットを敷くことで、1kHz帯域の吸音率を改善できる可能性があります。
オフィスがうるさいリスクと従業員への悪影響
オフィス内の騒音は、単なる「不快感」の問題にとどまらず、業務効率や健康、情報管理と職場の人間関係など、さまざまな面に影響を与える可能性があります。
とくに、集中力の維持や従業員の定着といった重要な指標において、音環境が静穏であることの価値は見過ごせません。ここでは、企業が注視すべき4つのリスクに分類して解説します。
集中力低下と生産性損失
業務中に周囲の音が気になる状態では、作業への集中が妨げられやすくなります。人間の脳は、無関係な会話や環境音にも注意を向けてしまうため、意識していないうちに思考の妨げになっていることがあります。
些細な音の干渉が積み重なると、作業効率の低下やミスの発生につながる場合もあります。静かな時間と騒がしい時間ではパフォーマンスに差が出ると感じている従業員は少なくなく、こうした音の影響は無視できないものになりつつあります。
ストレス・健康被害
日常的に騒音にさらされると、知らず知らずのうちにストレスが蓄積されやすくなります。音への刺激は自律神経に影響を与え、心身の緊張状態を招くとされており、特に長時間続く場合には、集中力の低下や疲労感の蓄積、睡眠の質の低下につながりかねません。
また、音に敏感な傾向がある人にとっては、一般的な音量でも強い不快感を覚えることがあり、職場環境の満足度や定着意欲に影響することもあります。多様な感受性に配慮した音環境の整備は、従業員の健康維持にもつながります。
情報漏洩・セキュリティリスク
オープンな空間では、会議や打ち合わせの内容が周囲に聞こえてしまうケースがあります。発言者にそのつもりがなくても、話の一部が漏れ聞こえることで、意図せぬ情報拡散や第三者の誤解を招く可能性があります。
特に、機密性の高いやり取りや顧客情報を含む場面では、音の管理が重要です。音漏れを抑えるための配慮や環境設計は、セキュリティ対策の一環としても有効です。
エンゲージメント低下・離職率上昇
オフィスの騒音は、職場の快適さや心理的安全性にも影響を及ぼします。騒音が多い環境では、周囲への気遣いや発言のしづらさを感じやすくなり、コミュニケーションが減少する傾向があります。
また、常に気が散る状態が続くと、職場に対する不満やストレスが蓄積されやすくなり、結果としてエンゲージメントの低下や離職意欲の高まりにつながることも考えられます。
音の問題を軽視せず、働きやすさの一環として改善していく姿勢が、職場への信頼や愛着にもつながります。
うるさいオフィスを静かにする6つの対策【設備・レイアウト】
音の課題に対する改善策は、発生源を抑える工夫と、音の伝わり方を制御する空間づくりの両面から検討することが重要です。
この章では、比較的導入しやすい設備対策とレイアウトの工夫を6つの視点から紹介します。目的や予算に応じて、段階的に導入することも可能です。
吸音・遮音パネルの活用
吸音パネルには、グラスウールやポリエステル繊維などの多孔質素材が使われており、音を熱エネルギーに変えて吸収します。一方、遮音パネルは石膏ボードや硬質木材など、質量のある素材で音を反射・遮断するものです。
コストを抑えつつ効果を上げるには、デスク周りのパネルを吸音材に替え、会話が集まりやすい場所にだけ遮音パネルを設置する「ハイブリッド施工」が効果的です。
個室ブース・パーティション導入
集中ブースや電話ブースを設置することで、会話音を最大30dB程度低減できるモデルもあります。選ぶ際は、内部の換気ファンの騒音値(NC値)が低い製品を選ぶと、ブース内外の音ストレスを軽減できます。
また、天井まで届くパーティションは消防法の制約が出やすいため、上部を開けて吸音ルーバーを併用する設計が一般的です。これにより、遮音性を確保しつつ安全基準にも対応できます。
ゾーニングで音の強弱を分ける
オフィス全体を静音重視の「集中ゾーン」と、会話が多くなる「コラボレーションゾーン」に分ける方法です。
例えば、静音ゾーンにはカーペットを敷いて音を吸収させ、コラボゾーンには木調のビニール床材などを使って動きを促します。素材の違いによって、利用者の行動が自然と切り替わり、音の広がり方もコントロールしやすくなります。
まとめ:うるさいオフィスを見直し働きやすい環境を整えよう
オフィスの「うるさい」は単なる不快感ではなく、生産性の低下・人材の離職・セキュリティリスクといった企業課題につながっています。
短期的にはルールの整備で即効性を持たせつつ、長期的にはレイアウトや設備の見直しで物理的な原因にアプローチすることが大切です。
また、自社の音環境を「見える化」して改善を継続することで、快適な職場づくりが定着します。
ハタラクバデザインでは、オフィスのデザイン・レイアウト作成だけでなく、テナント物件のご紹介から内装工事を含む各種工事、オフィス家具の設置にいたるまで、ワンストップで実施できることが強みです。
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